欧文史料に見る大阪の陣

展示品<11>

1. コメリン『東インド会社の起源と発展』オランダ語版、1646年刊
Isaac Commelin: Begin ende voortgangh, van de Vereenighde Nederlantsche Geoctroyeerde Oost-Indische Compagnie. Amsterdam, 1646.

複数のオランダ人の旅行記や東インド会社の文書が編纂された同書には、当時平戸商館長であったジャック・スペックスによる1611年の駿河・江戸参府日記が所収されている。大坂に到着した8月6日の項でスペックスは大坂城にいる秀頼について次の通りに記述している。
「美しくて、特別に堅牢な城を持っている。その中に、秀頼という、亡くなった君主の息子が滞在している。彼は今年齢が18歳位で、一度しか〔城の〕外に出ていない。彼は様々な事情により君主の座から退けられたが、それでも大きな歳入を有し、非常に多くの財宝を備えている。多くの大名ならびに一般庶民は彼に好意を抱いている。そのため、希望がない訳ではなく、彼がいつか君主の座に就く見込みがある。」