欧文史料に見る大阪の陣

展示品<19>

9. クラッソ『著名武将列伝』イタリア語版、1683年刊
Lorenzo Crasso: Elogii di Capitani illustri. Venezia, 1683.

『著名武将列伝』を著したロレンツォ・クラッソは、17世紀中葉のナポリで文筆家、弁護士として活躍した人物である。この著作には、当時古今東西で活躍した武将98人の評伝が列挙されており、その1人目には豊臣秀吉が、10人目には徳川家康の評伝が掲載されている。

とりわけ徳川家康の項目では、大坂の陣について詳細に記されている。そこでは家康が狡猾に大坂を手に入れた顛末、老若男女の別なく行われた虐殺、大坂城内の財宝も火災で失われる様子が描かれており、秀頼については幸運にも北国に逃れたとされている。