欧文史料に見る大阪の陣

展示品<20>

10. セーリス『東インド紀行』オランダ語版1707年刊
John Saris: Agtste Oost-Indische reys. Leyden, 1707.

日本に来航した最初のイギリス船の船長セーリスの航海日誌が1707年にオランダで出版された際に、同書の付録としてイギリス商館長コックスから本国イギリス王室の記録係トーマス・ウィルソンに宛てた1619年3月10日付の書簡が所収されている。

その中に、秀頼がまだ生きていて、京都に隠れているという噂が広まっていることが記されている。また、ちょうどその時にイギリス商館との取引のために平戸を訪れていた京都の商人達が、その噂が本当であれば、秀忠が京都を焼き討ちするのではないかと恐れて、慌てて京都へ向けて出発した場面も描写されている。このような当時の秀頼生存の噂についての記述はオランダ人の記録にも頻出している。