万国民の現代史 第1巻

出版年 1736
著者 サーモン
出版地 アムステルダム
言語 オランダ語
オランダ
分類 オランダ商館

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解説

 イギリスの歴史家サーモン(1679 – 1767)による『万国民の現代史(Modern History; or Present State of All Nations. 1724 – 1739.)』は、世界各国地域の歴史と文化を網羅に紹介する企図をもって刊行された叢書で、当時大きな人気を呼びました。アムステルダムで出版社を営んでいたティリオン(1705 – 1765)は、サーモンの叢書に大幅な増補改訂を加えて、この叢書のオランダ語版を刊行しました。本書は、このオランダ語版叢書の第一巻に当たるもので、中国、日本、フィリピンやモルッカ諸島が扱われています。
このオランダ語版には、英語版にはない図版や記述がふんだんに盛り込まれており、特に日本については、当時最新の日本地図と、出島の詳細な図版男女の日本人の図が加えられており、英語版にはない視覚情報を伝えています。出島の詳細な図版は、1699年から20年以上に渡り出島オランダ商館スタッフであったと思われるヘリトス・フォーフトから提供されたもので、38の項目に分けて出島内部を解説しています。当時最新の日本地図は、ケンペル『日本誌』に収録された地図に範をとって、ティリオンが手を加えたもので、山陰、北陸、山陽、東山、東海、南海、西海の七道を明示しています。また、本州の北端に実在しない「松前島」が描かれています。
テキストでは、全十章を割いて日本について多方面から論じています。地理(第一章)、政治(第二章)、宗教(第三章)、人々の暮らしと習慣(第四章)衣類や住居、祭事、道徳と刑罰(第五章)、都市と建築物(第六章)言語と文字(第七章)、工芸と特産品(第八章)、内外交易と度量衡、流通網(第九章)、地質と鉱物、植物(第十章)と、先行する著作を参照しながら多くの日本についての情報を提供しています。
本書は、イタリア語ドイツ語にも翻訳され、それらに収録されている地図や図版はいずれも、本書を底本としています。

(執筆:羽田孝之)

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