日本の扇舞

出版年 1898?
著者 ボヌール
出版地 ロンドン
言語 英語
イギリス
分類 楽譜

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解説

 〈日本の扇舞〉を作曲したテオ・ボヌール(本名:トーマス・ブルチ)は、イギリスで生まれ、オーストラリアで活躍した音楽家です。父親や父方の親せきが地元のバンドマンとして活躍していたこともあり、幼少期から音楽に親しんだボヌールは、独学で音楽への知識を深めていきます。早くからピアニスト、管楽器演奏者、作曲家と多彩な音楽の才覚を開花させました。

 1886年、ボヌール21歳のときに移住したオーストラリアで、彼ははじめ軍のブラスバンドの指揮官を勤めます。しかし、作曲で生計を立てることを決意し除隊。20代なかごろからは、ピアノ曲を中心に多くの楽曲を発表することとなります。ボヌールは様々な主題で作品づくりに取りくみましたが、1890年代末から1900年代初頭にかけての作品には、彼の出身国イギリスを含む西洋の多くの作曲家がそうであったように、ジャポニズムへのまなざしがうかがえます。本作品〈日本の扇舞〉のほかにも、同時期には〈日本の桜の舞〉〈日本の舞〉〈日本の乗り物〉といった日本をテーマにした複数の楽曲を発表しています。

 〈日本の扇舞〉の表紙には、3人の女性が扇子を片手に待っている姿が描かれていますが、これを見ると1885年に爆発的な大ヒットとなった喜歌劇『ミカド』のワンシーン、第1幕の中盤で演奏される〈学校帰りの3人娘〉を想起する方もおられるのではないでしょうか。楽曲の内容はというと、4拍子の舞曲で3部構成。変ロ長調の軽やかなメロディーが印象的な提示部に続き、「トリオ」ではやや憂いを帯びたハ短調のメロディーが顔を覗かせます。終盤の「コーダ」では提示部のハイライトを呈しつつ明るい雰囲気のまま曲が結ばれます。

(解説:光平有希)

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