日本キリスト教諸事報告

出版年 1617
著者 ピネイロ
出版地 マドリッド
言語 スペイン語
スペイン
分類 イエズス会

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解説

本書『日本キリスト教諸事報告』(スペイン語、1617年)は、ポルトガル人イエズス会士ルイス・ピネイロ(Luis Pinheiro, 1560-1620)によって著された、17世紀初頭の日本報告書です。ピネイロはポルトガル西部のアヴェイロ出身で、1576年にコインブラでイエズス会に入会、ポルトガル各地のイエズス会学院院長を歴任しており、1615~1618年にはマドリッド付のイエズス会日本管区プロクラドール(連絡係)を務めています。ピネイロに来日経験はなく、マドリッドでプロクラドールを務めていた期間、つまり日本情報に多く接していた時期に、本書は書き上げられました。
全516ページ、五部構成の本書は、17世紀初頭から大坂の陣までの日本の政治状況、キリシタンを取り巻く状況が取り上げられています。徳川家康に政権が移って以降、キリシタンを取り巻く状況は、日に日に厳しさを増し、本書でもキリシタンの迫害や殉教に多くの紙面が割かれています。しかしながら、それらのエピソードのなかに巧みに当時の細かな政治状況が織り込まれている点は、本書の特徴の一つと言えます。
なお本書の507~509ページで取り上げられている大坂の陣の記述では、「有名な話ではあるが、王子[秀頼]が死んだというのは嘘である。それどころか彼は母、妻とともに北国へと落ち延びた」との主張が展開されています。

(執筆:小川仁)

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