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ザビエル新書簡集全7巻
解説
本書は、日本で初めてキリスト教布教を行ったザビエル(Francisco de Xavier, 1506-1552)が、生涯において認めた書簡を編集してまとめたもので1667年にローマで刊行されています。
ザビエルの書簡集は、イエズス会の著作家トルセリーニ(Orazio Torsellino, 1545-1599)による『ザビエル書簡集全4巻』が、17世紀末以降長く読み継がれていました。これは、スペイン語で書かれていたザビエルの書簡をトルセリーニがラテン語に翻訳して編纂した書簡集で、全4巻の構成(1冊)として刊行されたものです。書簡は認められた年代順に編纂されており、全4巻構成の中で、50通余りもの書簡が収録されています。トルセリーノが編集したこの書簡集は、ザビエル書簡集の決定版として名高いものでした。
本書は、フランスのイエズス会士プシーヌ(Pierre Poussines, 1609-1686)が、それまで未発見であった新しいザビエルの書簡を、新たなザビエルの書簡集として刊行されたものです。日本に関係する書簡も含め、トルセリーニの書簡集には含まれていなかった新たな書簡が本書には加えられています。
650ページを超える本文は、全7巻で構成されており、トルセリーニの書簡集に従って、ザビエルの生涯に沿って年代順に編纂されています。第1巻には12本、第2巻(72ページ)には14本、第3巻(128ページ)には13本、第4巻(194ページ)には11本、第5巻(354ページ)には16本、第6巻(492ページ)には11本、第7巻(594ページ)には13本の書簡が掲載されています。
日本布教に関する書簡は、主に第5巻以降に収録されています。1549年11月に鹿児島から発信された3通の書簡(373ページ、404ページ、429ページ)では、当地での布教の様子や、そこで得られた情報として、まだ見ぬ京都や堺についても言及しています。また、荒廃する京都での布教を断念し、再び訪れた山口から1551年9月に発信された書簡(442ページ)も本書には収録されています。
本書は、ザビエルの新しい書簡を紹介した画期的なザビエル書簡集として、刊行後に多くの版が重ねられ、長らく読み継がれました。
(執筆:羽田孝之)
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