ライブラリー図書
六大旅行記附録
解説
6回にわたって中近東やアジアに旅行したフランスの冒険家ジャン・バティスト・ターベルニエは、フランス帰国後の1676年に『六大旅行記』をパリで2冊本として出版しました。『六大旅行記附録見聞記』は、この旅行記刊行後の1679年に補遺として出版されたものです。ターベルニエは日本に渡航した経験がないため、『六大旅行記』には日本関係の記述はないものの、本書では、日本について1章があてられています。この日本に関する1章は、ターベルニエがアジアで商人などとの会話から得た情報を基にしており、主にキリシタン弾圧や島原の乱の原因について論じられています。その中でターベルニエは、イエズス会士の傲慢を批判した上で、キリスト教徒であることを日本で隠しているオランダ東インド会社の職員についても強烈に批判しており、キリシタン弾圧の発端の要因の1つとしてオランダ人の策略を挙げています。本書において日本関連記述以外では、ペルシアやインドにおけるフランス東インド会社の活動史、アジア貿易論、トンキン見聞記、オランダ東インド会社のアジア貿易批判、オスマン帝国記が掲載されています。
(執筆:フレデリック・クレインス)
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