ライブラリー図書
世界周遊記
解説
本書は、イタリアの商人、フランチェスコ・カルレッティ(1573?~1636:Francesco Carletti)の1594年から1602年にかけて、商売の傍ら世界一周をした体験を著わしたものです。同書では、その時の体験を、フィレンツェ大公フェルディナンド1世に語りかける形式でまとめあげています。
カルレッティの『世界周遊記』は、彼が航海した順に、第一部「西インド編」(ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ大陸)と第二部「東インド編」(アジア、インド、アフリカ、ヨーロッパ)に分かれており、各部とも六章に分けられています。特に日本に関する記述は第二部第一章に詳細に綴られています。本書は1609年ごろに書き上げられ、イタリア・フィレンツェのメディチ家、トスカナ大公コジモ二世に献呈されているものの、原本は現存しておらず、写本の一つが1701年にフィレンツェで、出版業者ジュゼッペ・マンニにより出版されています。国際日本文化研究センターが収蔵する『世界周遊記』は、そうしたフィレンツェ版のうちの一冊となっています。
(執筆:小川仁)
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