学習室エッセイ

ジャポニズム楽曲・探訪記 Vol.2 ーミラノ⾳楽院ー

著者
光平有希
掲載年月日
2020-02-05

ジャポニズム音楽・探訪記の第二弾
(※ジャポニズム音楽の説明については、探訪記のvol.1.をご覧ください。)

本日は2019年春季に行ったミラノ音楽院での調査模様をご報告します!

ミラノ音楽院
ミラノ音楽院

ミラノがナポレオンにより統治されていたイタリア王国時代の1808年にミラノ音楽院は誕生しました。別名ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院。開校以来、《蝶々夫人》など数々のオペラを作曲したプッチーニや、同じくオペラで名をはせた作曲家マスカーニ、さらには「リストの再来」と賞賛されたピアニストのミケランジェリや、緻密かつ芳醇な演奏で聴衆を沸かせた同じくピアニストのポリーニなど、数々の著名な音楽家を輩出し続けている音楽の名門校です。

ミラノ音楽院附属図書館 内部の様子
ミラノ音楽院附属図書館 内部の様子

現在、ミラノ音楽院ではクラシックはもちろんのこと、古楽や電子音楽、近年ではジャズやポップスのコースも開講され、広範囲な音楽分野を学ぶことができます。また、音楽院附属図書館の蔵書数は5万冊を超え、書庫では中世の写本や自筆譜、書簡等の貴重な資料を数多く保管。イタリア音楽の歴史的および科学的研究における豊かな情報源の1つとなっています。

収集楽譜の一例 (歌曲「想い」)
収集楽譜の一例(歌曲「想い」)

そのなかに、今回のお目当てであるジャポニズム楽曲も所蔵されています。ミラノは日本の戦国時代に派遣された天正遣欧使節や明治期の岩倉使節団が滞在・通過した場所です。その影響もあってか、調査中、比較的多くの日本関連音楽資料に出会うことができました。収集した資料には18~20世紀初期に出版されたピアノや歌曲、ヴァイオリンのための小品や手稿譜、また日本音楽に関する理論書などが含まれており、いずれも非常に状態良く保存されています。

展示楽器 (右上:大太鼓、左下:鼓)
展示楽器 (右上:大太鼓、左下:鼓)

また、音楽院附属図書館を出たエントランスで一際目を引くのが、楽器を展示しているブース。多種多様な民族楽器を含む世界の楽器が「ところせまし」と展示されており、そのなかには日本の大太鼓や鼓、三味線、月琴なども展示されていました。様々な音楽文化に触れることが出来る場所、ミラノ音楽院。そこにはイタリアから遥か東方にある日本の楽器や楽曲作品も確かに息づいています。