ライブラリー地図
朝鮮・日本図
解説
19世紀に入って次第に正確さを増しつつあったヨーロッパにおける日本図を示す地図の一つで、スコットランドの地図製作者トムソン(John Thomson, 1777-1840?)によって1815年に作成されたことが、地図下部に示されています。トムソンは、本図を含めた『新一般世界地図帳(New General Atlas. 1817)』を刊行したほか、スコットランドの様々な地図帳を1820年代の終わりから30年代にかけて刊行しています。
北海道(ISLAND OF JESSO)は、本州に隣接した南部しか描かれていませんが、その輪郭はかなり正確に描かれています。本州(NIPHON)、四国(SIKOKE)、九州(KIUJU)についてもところどころ不正確なところが見られますが、緯度、経度含めてかなり正確に描かれています。特に淡路島、九州、四国については、それまでの地図よりもかなり性格になってきています。子午線はグリニッジを採用していることが明記されており、本州の中央付近を通る東経135度を地図下部で強調しています。各藩は破線によって示されており、それぞれの国名も記されています。また、山脈や河川などの地形に関する情報も描きこまれており、主要な山脈が示されています。
本図は、縦約52センチ、横約68センチと非常に大きなもので、トムソンの地図帳は大きくて見やすく、正確な地図帳として19世紀前半に好評を博し、本図も一定の影響力を持ったものと思われます。
(執筆:羽田孝之)