ライブラリー地図
日本列島・朝鮮図
解説
本地図〈日本列島・朝鮮図〉は、イタリア人地図製作者で、地球儀製作者、数学者でもあった、ジョヴァンニ・マリア・カッシーニ(Giovanni Maria Cassini, 1745-1824?)によって製作された地図です。若い頃のカッシーニは、当時のローマで著名な画家・版画家であったジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ(Giavanni Battista Piranesi, 1720-1776)のもとで修業を積み、ローマの古代遺跡の版画などを手掛けていました。地図製作に本格的に取り組むようになったのは、1787~1788年頃と言われており、アメリカ大陸図を皮切りに数々の地図を制作するようになります。
本地図は、カッシーニが1792~1801年にかけて出版した全三巻から成る『世界新地図帳』の第二巻(1797年)に所収されている地図で、当時の一枚ものの地図の特徴ともいえる地図帳から切り売りされたものです。また、ジャン・バティスト・ブルギニョン・ダンヴィユ(Jean-Baptiste Bourguignon d’Anville, 1697-1782)の〈北方アジア図〉(1737年)を参考にしている本地図の特徴の一つとして、蝦夷が島(JESO-GASIMA)と表記されている北海道と、ダンヴィユの描いた蝦夷(JESO)の形状が酷似している点が挙げられます。
(執筆:小川仁)