ライブラリー地図
日本帝国図
解説
本地図〈日本帝国図〉は、イタリア人地理学者のジョヴァンニ・デ・バイッロウ(Giovanni de Baillou, 1758-1819)とアゴスティーノ・ラバッタ(Agostino Rabatta, n.d.-n.d.)により制作されたポケット地図です。バイッロウは1758年イタリアのリヴォルノに生まれ、フィレンツェを中心に活躍した地理学者で科学者でした。一方のラバッタについては、くわしくはわかっていませんが、フィレンツェを中心としたトスカナ地方で活躍した地理学者であり聖職者であったようです。当該地図は、97枚一組で構成された地図帳のなかの一枚となっています。その大きさはカードサイズともいえるもので、トランプのような遊戯カードと地図帳双方の性質を兼ね備えたものとなっていました。その証左として、〈日本帝国図〉の下側には、人と思しきマークとローマ数字の11(XI)が刻まれており、他の地図も同じ仕様となっています。当該地図は、18世紀半ばにベリンにより制作された〈日本帝国図〉をベースとしており、地図の下半分には、五畿内など地方ごとに区分けされた旧国名が明記されています。
(執筆:小川仁)