コダック・タウンの少女(オペレッタ『コダキさん』より)

表題紙
出版年 1917
作曲者/作詞者/編曲者 ペン
出版地 ロチェスター
編成 ピアノ・歌
アメリカ
分類 シートミュージック

解説

本作〈コダック・タウンの少女〉は、オペレッタ『コダキさん』の劇中歌をピアノ伴奏用にアレンジした楽曲です。『コダキさん』は、アメリカ合衆国に拠点を置く写真用品メーカー「イーストマン・コダック社」の委託で制作されました。
『コダキさん』が誕生した20世紀初頭、とりわけアメリカでは日本人女性を主役に据えた小説が人気を博し、独自の日本表象土壌を育みました。そして、それらの小説を題材として『星さん』(台本:J.L. ロング/音楽:ワシリー・レップス/初演:フィラデルフィア、1909年)や『浪子さん』(台本、音楽:アルド・フランケッティ/初演:シカゴ、1925年)など、ロマン主義的な日本表象の歌劇が次々と制作されていきます。また、「○○さん」と名付けられた作品が多発するのもこの頃の特徴です。
『コダキさん』は初演時、コダック社が運営する遊楽場「コダック・パーク」併設のリセウム劇場で上演され、楽器演奏ならびに配役は全てコダックの社員が担いました。その時のことを報じたニューヨーク州ロチェスターの地域日刊紙Democrat and Chronicle (1917年1月21日刊)には、『コダキさん』初演時には複数の歌と踊りが披露され、123人による合唱を25人編成の交響楽団が盛り立てたこと、さらに序曲として「コダック・マーチ」が華々しく演奏されたことが記されています。
オペレッタ『コダキさん』は、ロチェスター神父とその娘たちが訪れた日本のとある町が舞台となっています。音楽は当時、アメリカの商業音楽作曲家として人気を集めていたイギリス出身のアーサー・A・ペン(1875~1941)が担当。本作〈コダック・タウンの少女〉は、オペレッタの主役ナン・クリアリーが歌うアリアで、変ホ長調3拍子、穏やかなワルツ調の小品にまとめられています。

(執筆:光平有希)

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