ライブラリー楽譜
日本の目付ポルカ
解説
作曲者のサミュエル・サメティニ(1816-1879)は、およそ1世紀ものあいだオランダの音楽シーンで活躍した音楽一家の出身です。彼はハーグの王立音楽学校を卒業後、レーワルデンやアムステルダムでヴァイオリニスト、指揮者、作曲家として名を馳せました。
本作がオランダで刊行された時には、すでに日本も明治期に入っていましたが、タイトルには江戸幕府や諸藩における職名で監察役を指す「目付」dwarskijkersがつけられており、幕末日蘭交流の一端を窺うことができます。ニ長調4分の2拍子、古典的な練習曲風の「ポルカ」にまとめられた本作ですが、「ポルカ」はその後、1880年代より多数の日本表象西洋楽曲に用いられる舞曲形式であることから、ここにはその萌芽も認められます。
(解説:光平有希)