ライブラリー楽譜
日本の調べ
解説
本作品は1810年代のアメリカで誕生しました。当時のアメリカでは、富裕層の子女を対象にしたピアノ教則本が数多く出版され、本作品もそうした曲集のなかの1曲であると推測されます。
典型的な古典風のロンド形式で纏められた本作品は、4分の2拍子の軽やかな主要テーマと、途中に顔を出すやや哀調を帯びた旋律とが対照的に響き合いつつ調和しています。〈日本の調べ〉を作ったジョン・ギルドンは、19世紀前半に複数のピアノ曲や歌曲の小品を世に送り出したアメリカの作曲家兼ピアノ教師です。ギルドンの生涯やその楽曲については残念ながら不明な点が多いものの、〈日本の調べ〉はアメリカにおけるジャポニズム楽曲のなかでも早期の例であり、アメリカのほかイギリスでも版を重ねて親しまれましたようです。
(執筆:光平有希)