ライブラリー楽譜
日本の眠りの精
解説
〈日本の眠りの精〉は、アメリカの作曲家リチャード・ホワイティング(1891-1938)による最初のヒット曲であり、黄金タッグとも称された作詞家レイモンド・イーガン(1890-1952)との共作によって誕生。1920年に女性歌手ノラ・ベイズによってレコード音源化され、その後、アップテンポにアレンジしたポール・ホワイトマン楽団の演奏により一躍有名となりました。
本作品は、様々な音楽家によって録音が手掛けられましたが、とりわけ1935年にはスウィング・ジャズの代表的存在であるベニー・グッドマンのレコードなどもヒットしており、当時のアメリカで「日本」という東方にある異国の地をイメージする代名詞的な存在でもありました。 楽曲は、五度の音階を骨子に据えたヘ短調のエキゾチックなメロディーラインに始まり、続くコーラスは3度の跳躍が軽やかなヘ長調の明るい雰囲気に。そしてその後、再度冒頭に戻るという3部構成で演奏されます。
***歌詞***
1.
ちょっとの間だけ想像を広げて、僕と一緒に行こう。
急いで西の海の向こうにいる人たちの所に行くんだ。
桜の樹の下に隠れて、ここから見える光景を楽しんでごらん。
あそこに日本の女性が赤ん坊を抱えて、子守唄をうたっているよ。
夜風がそよぐと婦人はため息をつくんだ。
〔コーラス〕
ほら、「日本の眠りの精」が現れた。夜露と共にこっそりと。
眠りの精は、ただの年老いた骨董屋。君の古い夢を買い取るんだ。
そして、過ぎ去った日々の様々な悲しみと交換に、君に明日を与え新たな日々が始まる。
夜明けに目覚めると、君はちょっとだけ年をとる。
そうして新しい日を過ごすと、君はちょっとだけ逞しくなるんだ。
さあ、「日本の眠りの精」が現れた。眠りの精が持っている銀を金と交換するんだ。
眠りの精は、ただの年老いた骨董屋。新しい寿命と君の過去を交換しよう。
2.
僕達が訪れたときみたいに、静かにこの扇子の絵の国を去ろう。
そっと歩かないと、歴史ある日本の小さな人々を起こしてしまうよ。
そんなことしたら、あっという間に死の安らぎと心地よい夢が混ざり合うんだ。
聞いてごらん、歌が反響するみたいな「日本の眠りの精」の売り声を、
『ほぼ新品の寿命だよ』って。
〔コーラス〕
ほら、「日本の眠りの精」が現れた。夜露と共にこっそりと。
眠りの精は、ただの年老いた骨董屋。君の古い夢を買い取るんだ。
そして、過ぎ去った日々の様々な悲しみと交換に、君に明日を与え新たな日々が始まる。
夜明けに目覚めると、君はちょっとだけ年をとる。
そうして新しい日を過ごすと、君はちょっとだけ逞しくなるんだ。
さあ、「日本の眠りの精」が現れた。眠りの精が持っている銀を金と交換するんだ。
眠りの精は、ただの年老いた骨董屋。新しい寿命と君の過去を交換しよう。
(解説:光平有希)