万国民の現代史 第2巻

出版年 1734
著者 サーモン
出版地 ヴェネツィア
言語 イタリア語
イタリア
分類 文化史

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解説

 イギリスの歴史家サーモン(1679 – 1767)による『万国民の現代史(Modern History; or Present State of All Nations. 1724 – 1739.)』は、世界各国地域の歴史と文化を網羅に紹介する企図をもって刊行された叢書で、当時大きな人気を呼びました。アムステルダムで出版社を営んでいたティリオン(1705 – 1765)は、サーモンの叢書に大幅な増補改訂を加えて、この叢書のオランダ語版を刊行しました。このオランダ語版叢書の第一巻は、中国、日本、フィリピンやモルッカ諸島を扱っており、1728年に初版が刊行されています。本書は、このオランダ語版を元に、日本、フィリピンやモルッカ諸島だけを独立させてイタリア語版叢書の第二巻として刊行されたものです。出版社のアルブリッツィ(1698-177)は150年以上にわたってヴェネチアで出版業を営んでいた名門家で、ティリオンとも協力して地図帳を刊行していることから、両者が緊密な関係にあったことが伺えます。
 オランダ語版には、英語版にはない図版や記述がふんだんに盛り込まれており、特に日本については英語版よりも優れた内容を持っていましたが、本書もオランダ語版を底本としているために、基本的にオランダ語版と同じ内容や収録図版となっています。当時最新の日本地図と、出島の詳細な図版男女の日本人の図が加えられており、英語版にはない視覚情報を伝えています。出島の詳細な図版は、1699年から20年以上に渡り出島オランダ商館スタッフであったと思われるヘリトス・フォーフトから提供されたもので、38の項目に分けて出島内部を解説しています。当時最新の日本地図は、ケンペル『日本誌』に収録された地図に範をとって、ティリオンが手を加えたもので、山陰、北陸、山陽、東山、東海、南海、西海の七道を明示しています。また、本州の北端に実在しない「松前島」が描かれています。
 テキストは、オランダ語版と同じ全十章構成で日本について論じています。地理(第一章)、政治(第二章)、宗教(第三章)、人々の暮らしと習慣(第四章)衣類や住居、祭事、道徳と刑罰(第五章)、都市と建築物(第六章)言語と文字(第七章)、工芸と特産品(第八章)、内外交易と度量衡、流通網(第九章)、地質と鉱物、植物(第十章)と、先行する著作を参照しながら多くの日本についての情報を提供しています。

(執筆:羽田孝之)

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