東インド・日本キリスト教布教最新報告

出版年 1582
著者 ヴァリニャーノ
出版地 パリ
言語 フランス語
フランス
分類 イエズス会

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解説

イエズス会はヨーロッパ外の多くの地域に宣教師を派遣していますが、その活動を年に一度以上、書簡で報告することが決められていました。各地から集められた書簡はローマで精査された上で、写本が作成されただけでなく、刊本の形で出版されることも多くありました。本書もその一つで、ゴアやコーチシナ、そして日本を含めた各地の1580年前後の報告書が収録されているフランス語版です。
こうしたイエズス会宣教師による日本報告書は、書式や記述内容が書き手によってまちまちでしたが、ヴァリニャーノは、来日した1579年以降これを改め、できるだけ誤りがなく簡潔で明快なものになるよう書式を整えさせています。本書は、ヴァリニャーノが自ら監修、指導しフランシスコ・カリオンに書かせたもので、最初のヴァリニャーノ式日本報告書としても有名です。
本書は、全体で30ページ弱の小冊子ですが、15ページから掲載されている1579年の日本報告書がその半分を占めています。日本での布教活動が順調で、今や1万人を超える信者がいることを有馬(Arima, 肥前)の様子をあげながら報告しています。また、この年、東インド巡察師としてヴァリニャーノ(Alessandro Valignano, 1539-1606)の最初の来日についても報告されています。また、京都 (Meaco)については、キリスト教徒の良き友にして、多くの国を治める日本の王である信長(Nobunága)のおかげで、望み得ないほどの実りを得ていると述べており、信長の動向について詳しく報告しています。ここでは、荒木村重による謀反のことや、信長からの信頼が厚く、人々から「宇留岸伴天連(うるがんばてれん)」と呼ばれて親しまれていた宣教師オルガンティノ(Organtino Gnecchi‐Soldo, 1533-1609)のことも触れられています。また、豊後(Bungo)でも布教が順調であることや、宣教師フロイス(luís Fróis, 1532-1597)、カブラル(Francisco Cabral, 1529-1609)の様子なども伝えられています。こうした本書の日本に関する報告書は、当時の日本側史料を補いうる重要な情報を伝えています。

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