激動の時代を駆け抜けたキリシタン女性たち     ②竹田アグネス

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フランシスコ・パシオ 『1603-1606年イエズス会日本通信』マインツ、1610年刊
Francisco Pasio. Relatio historica rerum in Iaponiae regno gestarum Anno domini 1603, 1604, 1605. & parte 1606. Moguntia, 1610.

著者のフランシスコ・パシオ(1554-1612)はボローニャ出身のイエズス会士で、1583年に長崎到着後は日本で布教活動を展開し、後に日本管区準管区長、日本・中国巡察師を務めた人物である。本書は、パシオが1603年から1606年にかけてイエズス会総長に宛てた書簡集で、1609年に出版されたイタリア語版からラテン語に翻訳されてドイツのマインツで出版されたものである。本書におけるアグネスの記録は、八代でのキリシタン弾圧についての項で僅かに認められる。そこでは、三宅角左衛門とヨハネ服部甚五郎との問答のなかで、ヨハネがアグネスら4人の亡骸を掘り起し、それらを売るために長崎に持っていったのではと三宅から嫌疑をかけられている様子が描かれている。

(執筆:小川仁)