展示品<1>
ニコロ・リドルフィ(ロドルフィ)『比類なき小編:慈悲深くも不屈の殉教者79人』ヴェネツィア、1642年刊
Nicolò Ridolfi (Rodolfi). Racconto dell’inaudito, e pietoso Martirio di settantanove, e più invitti Martiri. Venetia, 1642.
ニコロ・リドルフィ(1578-1650)は、イタリア、フィレンツェ出身のドミニコ会士で、教皇ウルバヌス8世よりドミニコ会の司教総代理に親補されるなど、ドミニコ会の財政立て直しや他の修道会との交渉、はたまた世俗の外交で活躍した人物である。当初、リドルフィは本書を流麗なラテン語で著しているが、後にジュゼッペ・ランベルティの手によりイタリア語に翻訳され、ヴェネツィアで1642年に出版された。本書はタイトル通り24ページという小編であり、4~22頁に1617~1638年のドミニコ会宣教師および日本人キリシタンの殉教に至る活動経緯が記され、23~24頁に殉教者一覧表が掲載されている。一覧表には、旅館の女将マルタ(Martha, albergatrice)、他女性二人(Altre due donne)、マッダレーナ(Maddalena)、マリア及びその夫と息子たち(Maria, col marito, e figliuoli)、他男女7人(Altri sette tra maschi, e femine)等々、様々な日本人キリシタン女性が認められる。
(執筆:小川仁)