激動の時代を駆け抜けたキリシタン女性たち     ③知られざる女性殉教者

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ジョージアナ・フラートン『ローレンシア:日本の物語』ロンドン、1861年刊
Georgiana Lady Fullerton. Laurentia: A Tale of Japan. London, 1861.

本書は、イギリスの女流小説家ジョージアナ・フラートン(1812-1885)が、16世紀日本におけるキリスト教信仰や殉教を題材として著わした時代小説である。13章から成る同書では、ローレンシアという架空の日本人女性主人公が信仰に目覚めてキリシタンとなり、その後、殉教に至るまでの様子が時系列的に描かれている。フラートンは序文で、同書は特定の史実に基づいたものではないと述べているものの、フランスのイエズス会士シャルルヴォア『日本史』などを参照しつつ、ザビエルやオルガンティーノによる布教活動の様子や、主人公を取り巻く当時の文化的・政治的背景について、かなり正確に描写している。

(執筆:光平有希)