激動の時代を駆け抜けたキリシタン女性たち     ③知られざる女性殉教者

展示品<2 >

前に戻る次に進む


ヨハネス・ディルキンク『若い女性の鏡』ケルン、1702年刊
Joanne Dirckinck. Jungfräwlicher Jugendt=Spiegel. Köln, 1702.

本書は、ドイツのイエズス会士ヨハネス・ディルキンク(1641-1716)が女性信者の信仰心を高めることを目的に執筆したものであり、カトリック教の発展に特に尽力した15人の女性を取り上げて、それぞれの生涯と善行を紹介している。本書で注目すべきは、信心深い女性の模範として、ヨーロッパ各国の女性信者達が選ばれている中で、「日本のマグダレーナ」Magdalena Japonicaも含まれている点である。この「日本のマグダレーナ」については、1613年にキリスト教に強い忠誠を示したため、有馬で父・林田レオと母、弟と共に火刑に処せられ、神に貞潔を捧げた人物であると記述されている。マグダレーナの善行は細川ガラシャや竹田アグネスと同様に、長くヨーロッパで語り継がれている。なお、マグダレーナの図は、表題紙の右下から2番目に見える。

(執筆:フレデリック・クレインス)