激動の時代を駆け抜けたキリシタン女性たち     ①細川ガラシャ  

概要

16世紀に日本へ来航したイエズス会士は、日本での布教活動に関する報告書を書簡の形で毎年イエズス会本部に送付していた。それら主にポルトガル語で書かれた書簡はローマでイタリア語に翻訳され、イタリア各地で書籍として刊行された。また、イタリア語からさらに他のヨーロッパ諸言語にも翻訳されたほか、当時学問の共通語として使われていたラテン語でも刊行され、ヨーロッパで広く読まれていた。それらイエズス会士の報告集の中には、日本のキリシタン女性の活躍についても数多くの記述が含まれている。なかでも、細川ガラシャ(1563-1600)について多くの記述が見られ、彼女の存在は同時代のヨーロッパで広く知られていた。その他にも、竹田アグネスや林田マグダレーナなどキリシタン迫害に屈しなかったキリシタン女性の殉教者についても詳細な情報がヨーロッパに伝達され、彼女達はオペラや演劇の題材にもなった。当展示会では、国際日本文化研究センター所蔵貴重書の中から16~18世紀のヨーロッパで刊行された、キリシタン女性達についての記述のある書籍の一部を紹介する。

(執筆:フレデリック・クレインス)