激動の時代を駆け抜けたキリシタン女性たち     ①細川ガラシャ  

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ジョン・ヘイ『イエズス会書簡集』所収ルイス・フロイスの書簡 アントワープ、1605年刊
John Hay. De rebus iaponicis, indicis, et pervanis epistolae recentiores. Antverpia, 1605.

ラテン語で編纂されたイエズス会士の書簡集の代表的なものとして、スコットランドのイエズス会士ジョン・ヘイ(1546-1607)が著わした『イエズス会書簡集』が挙げられる。同書の中に、ポルトガルのイエズス会士ルイス・フロイス(1532-1597)による日本におけるキリスト教活動に関する書簡が複数掲載されている。なかでも、フロイスが1588年2月20日付で長崎からイエズス会総長宛に送付した書簡には細川ガラシャに関する詳細な記述が認められる。それによると、ガラシャは織田信長に反逆した明智光秀の娘であり、嫉妬深い夫の細川忠興の屋敷の中で幽閉されていたが、夫の不在時に侍女達の間に紛れて密かにキリスト教会へ赴き、そこでキリスト教の教理について教えを受け、その後、侍女を仲介として洗礼を受けた、とある。

(執筆:フレデリック・クレインス)