欧文史料に見る大阪の陣

展示品<14>

4. ピネイロ『日本キリスト教諸事報告』スペイン語版、1617年刊
Luiz Pinheiro: Relacion del sucesso que tuuo nuestra Santa Fe en los reynos del Japon. Madrid, 1617.

『日本キリスト教諸事報告』を著したイエズス会士、ルイス・ピネイロは1612~1614年に日本で布教活動したと考えられており、イエズス会日本管区マリッド連絡所でプロクラドール(書記及び事務方)を務めた人物であった。

本書は5章構成で、1612~1615年の日本におけるキリスト教布教と日本国内の政治状況との密接な関連性が記されている。大坂の陣についての項目は、秀頼に対して終始同情的な論調で話が進み、豊臣方のキリシタン大名、明石道斎(全登)の活躍や、宣教師の様子などが他の著作に比べて多く取り上げられている他、秀頼のために戦ったキリシタンにまで記述が及んでいるのが特徴的である。秀頼の最期については、両軍数多の死者を出した激戦を経て大阪城が炎上後、母とともに豊臣縁故の殿(トノ)を頼り、北国に逃れたと記されている。