欧文史料に見る大阪の陣

展示品<16>

6. ケンペル『日本史』英語版、1727年刊
Engelbert Kaempfer: The history of Japan. London, 1727.

1690年に日本へ渡り、長崎オランダ商館員として2回江戸参府に同行したドイツの知識人ケンペルが著した『日本史』に、日本側史料に基づく大坂の陣関連記述が見られる。ケンペルが利用した日本側史料は、1684年に出版された庶民の歴史年表『大日本王代記』である。ケンペルは大坂の陣について次の通り記述している。

「〔後水尾天皇在位〕3年10月25日に非常に激しい地震が起こった。同年に、世俗皇帝の唯一の息子で、後継者であった秀頼は、後見人で義父の家康によって大坂城にて攻囲された。4年5月7日に落城した。しかし、王子は、最も忠実な支持者と共に引き籠った本丸に火を付けて、自分にごく近い縁者であったにもかかわらず勝利を収めた敵の手中に落ちるよりも火による死を選んだ」。