欧文史料に見る大阪の陣

展示品<18>

8. フランシシ『海外諸国歴史芸術風俗新鏡』ドイツ語版、1670年刊
Erasmus Franciscus: Neu-polirter Geschicht- Kunst- und Sitten-Spiegel ausländischer Völcker. Nurnberg, 1670.

ドイツの博学者フランシシは『海外諸国歴史芸術風俗新鏡』において、アジアを中心とする世界各国に関する歴史や政治、慣習などについての様々な珍奇な話を編纂している。日本についても膨大な量の情報が掲載されており、関ケ原の戦いや大坂の陣についても解説されている。

大坂の陣についての解説では、家康が無実の秀頼の命を取るための数々の口実が、イソップ童話の狼と子羊の話の中に出てくる狼が羊の命を奪うための口実に喩えられて、秀頼が真の王子で、家康が悪党として描かれている。秀頼の勇敢な戦いが讃えられ、冬の陣・夏の陣に関する詳細な記述の後に、秀頼は母親と娘と共に、残忍な家康が本丸に付けた火に飲み込まれるという結末が劇的に語られている。